花沢の里

静岡市側から国道150号を走り、日本坂トンネルを抜けて右へ抜けると、「花沢」という小さな町があります。ハイカーに人気の満観峰麓に広がる、わずか30戸ほどの山村集落。花沢川と併行する旧東海道の傾斜に築かれた石垣の上に、瓦屋根の木造屋敷がならんでいます。

昔へタイムスリップしたかのような、自然と調和した町並み。あたりからはせせらぎと鳥のさえずりしか聴こえてこない、そんな場所です。家並みのなかには、江戸時代の母屋もいくつか残っているそう。

この地域では、明治から昭和にかけてお茶や蜜橘、養蚕業が盛行を極めました。各民家は季節労働者の宿泊施設として利用されることが多かったため、附属屋などを増改築しながら、現在まで保存されてきたようです。

法華寺の仁王門

里を奥に進むと天台宗の法華寺という寺があります。母乳の授乳や安産成就にご利益があるとされる乳観音、馬の保護神である馬頭観音があり、本尊は行基の作と伝えられる千手観音を祀っています。本堂へ向かう階段を登ると、風格のある仁王門がお出迎え。

長屋門造りの民家

里の中を散策すると「長屋門造り」の家を見ることができます。全国的にも珍しい建造物で、門と家が一体になっているんですね。写真の家は、附属屋の2階をつないでこの形になったようです。

こちらのお宅は、じつは民家であると同時に、現在はお休処として利用することができます。「カントリーオーブン」という、花沢唯一のカフェです。

カントリーオーブンでは、山の水で淹れたコーヒーやハーブティー、自家製スイーツをリーズナブルに提供。散策の休憩にぴったりの場所にあるのが嬉しい限りです。満観峰から戻ってきたハイカーも多く立ち寄っていきます。

花沢唯一のカフェ

ハーブティー